
アートカード
![]() 色絵馬 |
![]() パウル・クレー |
![]() 和高節二 |
![]() 靉光 |
![]() 芥川 永 |
4 伊万里 柿右衛門様式 色絵馬
目を見開き、鼻腔をふくらませ、耳をピンと立てて歯をかみ合わせ、胸を張り、力強く大地を踏みしめる二頭の馬。背中の装飾布には宝相(ほうそう)花(げ)唐草文様などが鮮やかな色絵で描かれ、馬の緊張し、興奮した佇まいとともに、吉祥的で祝祭的な晴れがましさが全身から発散されている。伊万里焼は1659年以降オランダの東インド会社を通じて本格的に輸出されたが、これらの馬も長らくフランス・ボルドー地方の旧家を飾っていたと伝えられる。
酒井田柿右衛門家は伊万里焼を代表する陶家で、初代が17世紀中頃に色絵法に成功し、金銀焼付け法を開発するなどした。その名が冠された柿右衛門様式は17世紀後半の西欧輸出用色絵磁器の一群で、純白の白磁胎に施された典雅な色絵を特色とするが、1720年代にドイツのマイセン窯が模倣に成功後、衰滅した。
14 パウル・クレー
≪ある音楽家のための楽譜(あるおんがくかのためのがくふ)≫
画面を分割する線を五線譜に見立て、音符やト音記号を思わせる造形を、まるで音楽を奏でるかのようにリズミカルに配置する。象形文字のような音符の独特の造形は、アフリカの染織デザインの影響だろうか。バリエーション豊かな色調で塗り分けられた五線譜と、にじみを見せる黒い線との調和にも着目したい。詩的な響きをもつ作品名と描かれた内容を行き来しながら、楽しめる作品。
31 和高節二(わだか せつじ)
≪村の子供(むらのこども)≫
右から、画家の次男、長女、長男、次女である。おそろいの長靴を履いた素朴な装いの少年少女たちは、仲良く並び立って、じっと正面を見つめている。寒さのためかそれぞれに頬が赤く染まり、その表情には穏やかな笑みが浮かぶ。その目線の先にある父・節二の絵筆をにぎる姿、愛情に満ちたその眼差しが想像される。長女のマフラー、次女の服と人形とに用いられた赤がとりわけ鮮やかで、作品に華やかさを添えている。
41 靉光(あいみつ)
≪帽子をかむる自画像(ぼうしをかむるじがぞう)≫
がっしりとした上体に太い首。堅牢な体は、画家の痩身を模したとはいいがたい。応召までの約1年間に、靉光は著名な三点の自画像を描いた。日頃からアトリエに人を入れたがらなかった靉光だが、自画像制作の際はその傾向を一層強め、家族の留守中にひっそりと描いていたという。外界を遮断し、自己との深い対話から生まれた力強い造形と重厚な画面は、画家の凝縮した精神と制作に打ち込んだ時間を塗りこめたかのようである。
50 芥川 永(あくたがわ ひさし)
≪雲になった蛙(くもになったかえる)≫
詩的なタイトルが印象的である。上空に浮かぶ雲を思わせる造形には、よく見ると、目鼻や手(足?)のようなかたちが表され、さらにつるりとした凹部が蛙の腹に見えてくると、つい笑みがこぼれる。具象的な作品が多い芥川であるが、本作は、別の作品を破棄するときに偶然生じた破片から想を得たということ。ユニークなタイトルと、変化に富む表面の造形や質感が魅力的な作品である。










広島県立美術館 Hiroshima Prefectural Art Museum


